診察と診察の間にカルテを書き切れず、閉院後にまとめて入力する。飼い主さんに話した内容を思い出しながら書いていると、3件目あたりで「この説明をしたのはこの子だったか、前の子だったか」と自信がなくなってくる——。私自身、南大沢どうぶつ病院での診療でずっと抱えていた問題です。
このコラムでは、カルテ作成の負担がなぜ溜まるのかを整理したうえで、最近実用レベルになってきた「診察中の会話を録音してSOAPカルテを自動生成する」方法と、導入前に確認しておきたい点をまとめます。
カルテ残業の正体は「記憶の再生」です
カルテ入力そのものに時間がかかるというより、時間を食っているのは「診察中に何を話したかを思い出す」工程です。診察直後なら1〜2分で書ける内容が、夜にまとめて書くと思い出すところから始まるので何倍もかかります。しかも記憶は薄れるので、飼い主さんに伝えた細かいニュアンス(「次回までに食欲が戻らなければ検査に進みましょう」と言ったのか、「検査をおすすめします」と言ったのか)は最初に消えていきます。
つまり、カルテ業務の時短で効くのは入力の高速化よりも「記憶の再生をなくすこと」です。診察中の会話がそのまま記録になれば、思い出す工程自体が消えます。
録音→SOAP自動生成の流れ
仕組みはシンプルです。診察室での飼い主さんとの会話をスマホやPCで録音すると、AIが文字起こしをして、内容をSOAP形式(S: 稟告、O: 身体検査・検査所見、A: 評価、P: 計画)に整理します。生成されたテキストを確認・修正して、電子カルテに貼り付ければ完了です。
実際に使ってみると、S(飼い主さんの訴え)とP(次回の予定や在宅での指示)の再現性が特に高いことに気づきます。この2つはまさに「会話の中にしか存在しない情報」で、従来は獣医師の記憶だけが頼りだった部分です。逆にO(検査所見)は会話に出てこない数値もあるので、検査結果を口に出して読み上げる癖をつけるか、後から追記する運用になります。
導入前に確認しておきたい3点
1. 録音データの保存期間と学習利用
診察室の会話には飼い主さんの個人情報が含まれます。録音データがサーバーに何日残るのか、AIの学習に使われないかは、サービス選定時に必ず確認してください。数十日保存するサービスもあれば、数日で自動削除するものもあり、ここは設計思想がはっきり分かれる部分です。
2. 生成結果の確認は獣医師の仕事として残る
文字起こしには誤変換があります。特に薬剤名や専門用語は間違えやすいので、生成されたSOAPをそのままカルテに残すのではなく、必ず獣医師が確認してから確定する運用が前提です。「下書きが自動でできる」ツールであって、「カルテを書かなくてよくなる」ツールではありません。
3. 録音についての院内ルール
診察の録音を運用に組み込むなら、掲示や説明で飼い主さんに伝わる形にしておくのが誠実です。「カルテを正確に残すために診察を録音しています」と伝えて嫌がる飼い主さんは、経験上ほとんどいません。
VKA:診察を録音するとSOAPができあがります
当社の Vet Karte AI(VKA) は、この「録音→SOAP自動生成」を動物病院向けに設計したサービスです。録音音声は3日で自動削除(即時削除も可能)、AIの学習には使いません。アプリのインストール不要で、月30分まで無料・クレジットカード登録も不要なので、まず今日の診察1件で試せます。
VKAを無料で試す →