「ALTとALPの上昇が認められ、肝胆道系疾患が疑われます。精査をお勧めします」。獣医師として完全に正しいこの文章を、飼い主さんに渡す文書にそのまま書くと、伝わるのは「なんだか悪いらしい」という不安だけです。正確に書くことと伝わるように書くことは、残念ながら別の技術だからです。
専門用語は「悪者」ではなく「未翻訳」なだけ
専門用語を使うなという話ではありません。用語は正確な概念の圧縮であり、圧縮されたままでは受け取れない人がいる、というだけのことです。必要なのは翻訳です。「ALT=肝臓の細胞が壊れると血液に漏れ出てくる酵素です。この値が高い=肝臓の細胞がダメージを受けているサインです」。一段ほどいて渡せば、同じ内容が伝わる情報になります。
やさしく書くための3つの技術
1. 一文にひとつのことだけ言う
「腎数値の上昇と尿比重の低下があり脱水も考慮し皮下点滴を行いました」を、「腎臓の値が上がっています。おしっこを濃縮する力も落ちています。脱水を補うため、皮下点滴を行いました」に割る。内容は同じでも、負荷がまるで違います。
2. 数値には「ものさし」を添える
「Cre 2.8」だけでは、飼い主さんには高いのか低いのかも分かりません。「基準値の上限が1.6で、今回は2.8でした」とものさしごと渡します。推移があるなら「前回2.9→今回2.8」と方向も。数字そのものより、数字の読み方を渡すイメージです。
3. 「次に何をするか」で締める
説明文書の最後は、病状のまとめではなく行動で締めます。「2週間後に再検査をします。それまでに食欲が2日続けて落ちたら、予約前でもご連絡ください」。読み終えた飼い主さんが「で、私は何をすれば」と迷わない状態がゴールです。
書き分けはAIの得意分野になりました
この「翻訳」、大切だと分かっていても、カルテ用と飼い主さん用に同じ内容を二度書くのは現実には重い作業です。ここは文章スタイルの変換という、AIがもっとも得意とする仕事でもあります。検査データから、カルテ用には簡潔な記録を、飼い主さん用にはやさしい説明文を、それぞれドラフトさせて獣医師が確認する。二度書きの負担が消えると、「飼い主さん向け文書を渡す」こと自体が続けられる運用になります。
VRA:同じ内容を「やさしい説明型」で出力できます
当社の Vet Record AI(VRA) は、検査結果報告書などのドラフト作成時に文章スタイルを選べます。「やさしい説明型」を選ぶと、同じ検査内容を飼い主さん向けの平易な文章で出力。カルテ用には「である調・簡潔型」、飼い主さん用には「ですます調・やさしい説明型」と、読者に合わせた書き分けが数分でできます。無料プラン(月5症例)あり。
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