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「電話は苦手、LINEなら聞ける」飼い主さんが増えている:連絡手段の世代交代に病院はどう合わせるか

2026年9月14日公開|執筆:保坂創史(獣医師・日本獣医がん学会 獣医腫瘍科認定医Ⅰ種)

20代の飼い主さんと話していて印象的だったのは、「電話って、相手の時間を奪う感じがして苦手なんです」という言葉でした。爪切りの予約ひとつでも、電話をかける心理的なハードルがある。だから用件はできればLINEやチャットで済ませたい。この感覚は、私たちの世代が思うよりずっと広く共有されています。

「電話しない」は「関心がない」ではありません

病院側から見ると、電話が来ないことは問い合わせがないことに見えます。でも実際には、「電話するほどではない」と判断された小さな疑問が、聞かれないまま溜まっています。フードの切り替え、薬の飲ませ方がうまくいかない、便が少しゆるい。一つひとつは小さくても、聞けないまま溜まると、来院のタイミングが遅れたり、自己判断での対応につながったりします。

電話しか窓口がない病院は、この「小さな疑問」の層とまるごと接点を失っている可能性があります。そしてこの層は、若い飼い主さんほど厚い。

テキストの窓口は病院側にも合理的です

飼い主さん側の事情だけでなく、病院側にもテキスト窓口の利点があります。電話は同時に1本しか受けられず、受けた瞬間にスタッフの手が止まります。チャットは同時に何件でも受けられて、診療の手を止めません。診療時間・料金・予防のスケジュールといった定型的な質問なら、AIが登録情報をもとに即答する形で、人が出る必要すらありません。

人が出るべき連絡と、出なくていい連絡

すべてをAIに任せる話ではありません。症状の相談や込み入った事情は人が対応すべきで、AIには診断をさせず受診案内に切り替えさせる。一方で「今日って何時までですか」に人間が毎回出る必要はない。窓口を増やす目的は、定型の質問を自動応答に流して、人の手を本当に人が要る連絡のために空けておくことです。

LINEには「病院からの発信」にも使えるという利点があります。フィラリア予防の開始時期やワクチンの案内を一斉に届けられるので、問い合わせを受ける前に疑問を減らす方向にも働きます。

窓口の設計は「若い飼い主さんの初診体験」から考える

これから病院を選ぶ飼い主さんの中心は、電話が苦手な世代に移っていきます。夜にスマホで病院を探し、ホームページのチャットで診療時間と費用感を確かめ、そのまま予約の問い合わせをする。この動線が用意されている病院と、「お電話ください」だけの病院。数年後の新規来院の差になって表れると私は見ています。

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保坂創史
執筆:保坂創史(獣医師)
プラシア合同会社 代表社員。南大沢どうぶつ病院・多摩八王子動物がんクリニック院長。日本獣医がん学会 獣医腫瘍科認定医Ⅰ種。自院の診療で感じた課題をもとに、獣医師向けAIツール(VRA・VKA・VetsLogic・VetCall・VetLink)を開発しています。プロフィール詳細