「音声入力は前に試したけど、結局やめました」という先生は少なくありません。誤変換だらけの文章を直すくらいなら最初から打ったほうが速いし、句読点や改行まで口で指定するのは煩わしい。その挫折の記憶のせいで、最近の「AIカルテ生成」も同じものだと思われていることがよくあります。でもこの2つは、仕組みも使用感も別物です。
ディクテーションは「口で打つキーボード」
従来の音声入力は、しゃべった通りの文字列を出力する道具です。つまり、カルテとして成立する文章を頭の中で組み立てる仕事は、依然として獣医師がやっています。「13歳、雑種猫、まる。主訴、てん、3日前からの嘔吐、まる」と、文章を考えながら記号まで発話する。キーボードが口に変わっただけで、作文の負荷は減っていません。誤変換の修正コストを差し引くと、タイピングが速い人には利得がほぼ残らない。挫折して当然でした。
AI生成は「整理する係」が入る
一方、いまのAIカルテ生成がやっているのは、話し言葉を整った文書に再構成することです。診察室の会話——雑談も言い直しも混ざった生の音声——を文字起こしし、そこから必要な情報を拾ってS・O・A・Pに振り分ける。獣医師は文章を組み立てながら話す必要がなく、普段どおり診察するだけです。
口述で使う場合も違いは出ます。「え一っと、今日の子は嘔吐が3日続いてて、脱水は軽度、腎数値は前回と変わらずで、皮下点滴して様子見に」という乱れた独り言から、整理された記録が返ってくる。句読点を口で打っていた世界とは、要求される話し方がまるで違います。
それでも残る獣医師の仕事
共通して残るのは確認の仕事です。文字起こしは薬剤名や専門用語を間違えることがあり、生成されたSOAPをそのまま確定してはいけません。ただ、「ゼロから書く」と「できたものを確認して直す」では、かかる時間も精神的な負荷も大きく違います。カルテ業務の負担が「作文」から「校閲」に変わる、と言うのが実感に近いです。
VKA:口述でも、診察まるごとでも使えます
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